みさきさくら

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ニヤニヤと面白そうにニタつきながらラーメンをすする目の前の男が憎くて、それでいて切ない気持になってどう仕様も無かった。 ◆ 買い出しから1週間ほどたったある日、教室でだらだらと飯を食っているとクラスメイトに言われた。 「なんだかんだでお前らって仲良いよな。」 「「は?」」 いかん、三崎なんかと声がかぶってしまった。 二人で声の主を見ると面白そうに笑っていた。 「いや、どう見ても仲悪いだろ……。」 俺が言うと、それを無視してそいつは三崎に言った。 「だってさ、三崎がからかうのって佐久良だけじゃん。」 それは俺の顔面がサクラなんていうお綺麗な響きと合わないからだろう。まあ、言わないけど。 何故か、三崎も黙って何事か考え込んでいる。 はっきり言ってこんな風に考え込む三崎は珍しい。 「俺の名字知ってる?“恵(めぐみ)”っていうんだけどさ。俺の名字も女みたいだし、お世辞にも綺麗な顔も可愛い顔もして無い訳よ。でも三崎にからかわれた事ないんだよ。」 面白そうに恵は言う。 三崎は恵の顔と俺の顔を交互に見てそれから 「だって、佐久良ちゃんはかわいいだろ? だからからかいたくなる。」 とするりと言った。 かわいい?何言ってんだこいつ。 頭でもおかしくなったのか。 半ば茫然と三崎を見ると、いたっていつも通り、普通だった。 こいつのかわいいは俺とベクトルが違う。     
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