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力を求めて
ソレイユの復讐はいとも簡単に終わった。
もちろん望む形ではない。
完膚なきまでに叩きのめされてしまったのだった。
身体には数えきれないほどの傷を負い、森の中で力なく倒れこんでいる。
少女との生活が頭をめぐる。ここで終わっていいはずがない。あの時間を奪ったあの魔女に、何の落ち度もない無垢な少女の命を奪っていったあの魔女に、自分まで奪わせるわけにはいかない。そんな想いが、起き上がる力を与えた。
自己修復を行いながら、ソレイユは考える。現状のままでは到底弔花の魔女に叶うことはない。悔しいが、これは事実だ。機族は合理的な考え方をする。復讐という無意味な行動を選択しながらも、冷静な判断力自体は失われていないのだった。
ではどうすればいいのか。
本来戦闘用兵器ではない自分に何ができるのか。
いや、兵器という土台はあるのだ。
そして兵器だからこそできることはあるじゃないか。
「アップグレード」をすればいいのだ。
あの忌まわしい花を焼き尽くせるような火力を、この身を焦がすほどの怒りを放てるだけの兵器を身に纏うのだ。
そんなことができるのはきっとただ一人だろう。
伝説にうたわれる竜の鍛冶屋ロディア。
彼女ならこの願いをかなえてくれるだろう。
ソレイユは希望を胸にロディアを探す旅に出るのであった。
ほどなくしてロディアは見つかった。
そして、希望が消えた。
ロディアはソレイユにこう告げたのだった。
「悪いが、あんたの身体じゃ、その要望に応えるだけの改造は施せないね。」
「どうしてだ!?」
「あんたは元々戦闘向きの構造になってないのさ。今以上の力をその身に宿すんだとしたら、それは諸刃の剣ってやつさ。文字通り、命を削ることでしか攻撃することはできないだろうね」
「そんな御託は聞きたくない!覚悟はできているんだ!!」
「珍しい物言いをする機族だねぇ?機族ってのはもっと合理的な判断をする種族だと思っていたが??自分の命を削ってまで完遂する復讐に何の意義があるんだい??」
ソレイユは沈黙してしまう。
ロディアは真実を告げているのだ。
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