エピソード2『彼を探す理由』

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エピソード2『彼を探す理由』

「エレミアお兄ちゃんは何が好き?」 「お兄ちゃんはセリアが一番大好きだよ。」 「違うー!セリアが好きなのはわかってるのよぉ!!」 「ははは、ごめんごめん。セリアがくれたこのペンダントがお兄ちゃんの一番の宝物だよ。」 「ほんとっ!?嬉しい!大切にしてね、お兄ちゃん。」 「………。眠ってしまったか。」 氷結の森の中、光が現れた方角に歩き続けた男、エレミア。 数時間歩く中、少し眠りにはいってしまった。 夢のなかででてきた思い出。大切な妹との思い出。 エレミアは、大切に身につけたペンダントを軽く握りしめた。 どれくらい歩くのだろう。凍った氷結の中、彼はまた歩き出した。 少し歩きだしたその時、彼は誰かの視線を感じた。 「誰だ。少し前からこちらを見ているのはわかっている。」 エレミアの視線の先には、空に浮かぶ魔女のような女がこちらをみて笑っていた。 「あらら、見つかっちゃったのね。お久しぶりね、おにいさん。」 女が笑顔で挨拶する。 「エレノア…いや、誰だおまえは、あったこともない。なぜ私のことを知っている。 そしてこの場所に私がいることも。」 「私は助言しにきてあげたのよ、助けたいんでしょ妹さんを。」 「!?貴様、セリアを知っているのか、何者だ!」 女は微笑みながら喋り出す。 「内緒よぉ。全部教えたら面白くないじゃない。 でもね、ひとつだけいいことを教えてあげる。あなたが探すべき召喚士を。」 エレミアは驚き声を荒げながら聞き返す。 「召喚士!貴様、どこまで知っている。いったい何者だ!」 「だから内緒だってばぁ。あなたの目的は知っているわ。だから教えてあげる。 この時代に生まれし召喚士。イスリーダ帝国のレイアスと言う名の男の子。」 「なぜそれを私に教える?」 「なぜかしらねぇ。目指しなさい、召喚士のもとへ。じゃあね。」 そういって女は消えてしまった。 エレミアは、少し冷静ではいれなかった。 だが、彼が行くべき場所ははっきりした。 「イスリーダ帝国のレイアス。新たに生まれし召喚士。」 そう呟き、彼はまた歩き出した。 しかし、その表情は険しかった。
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