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第一章 罪と出会い
数年後――。
高校一年生になった夢姫が、合鍵で希翔の家のドアを開ける。
ミルクティー色の胸まで届く、ゆるふわパーマのかかった髪。身長は153センチと小柄で、高校生にしてはまだ少し幼さが残っていて、そこがとても愛らしく、地味で暗い印象はなくなり、女優や歌手などマルチに活躍する芸能人となっていた。
夢姫は家に入ると、希翔の母、久美子に挨拶する。
「おばさん、おはよ~!」
「夢姫ちゃん、おはよう。丁度、今、朝ご飯出来たところだから」
「おばさん、いつも、ありがとう~!」
「希翔、まだ、寝てると思うから、起こしてあげて」
「わかった~」
夢姫はそう言って、二階にある希翔の部屋へ向かおうとしたとき――。
「あっ、夢姫ちゃん、ちょっと、待って!」
久美子に呼び止められた。
「何ですか~?」
夢姫がリビングの入り口に顔をちょこんと出しながら言った。
「新曲のことなんだけど……」
久美子は少し言いづらそうにして答えた。
そんな久美子の様子に夢姫は察しがついたのか、笑って。
「わかってますよ~! 任せといてください! 必ずいいものにしますから~!」
そう言って、久美子にブイサインをした。
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