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「ああ」
希翔は夢姫に短い返事をして、夢姫の向いの席に座った。
席には既にトーストされた食パン、スクランブルエッグ、ほうれん草とベーコンのソテー、スープとサラダが並べられていた。
夢姫は「ほいっ!」と言って、希翔にバターとバターナイフを手渡し、希翔はそれを「っん」と言って、受け取った。
希翔は食パンにバターを塗り、それを口に運ぶ。
夢姫は希翔が開けっ放しにしたバターのフタを閉じて、それを冷蔵庫にしまう。
そんな一連の流れは、もはや熟年夫婦のように慣れたものだった。
ふと、希翔がテレビに目をやると夢姫を特集したコーナーがやっていた。
この間まで行われていた全国ツアーのことや、映画の初主演が決定したことなど、夢姫の活躍が放送され、出演したドラマのシーンやライブシーンが映し出されていた。
そこに映し出されている夢姫の姿は普段、希翔が目にしている夢姫の姿とは少し違っていて、とてもカッコよく見えた。
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