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そこまで話題になっているのには理由があった。それは受賞した賞が有名な賞だということだけではなく――――。
「ありがとうございます」
希翔は少し照れくさそうにしながら、お礼を言った。
「お父さん、有名な画家だもんね。やっぱり、希翔くんも将来はお父さんと同じ画家になるのかな?」
「まだ、わかんないですけど、そうなれたら嬉しいです!」
希翔は笑顔でそう返した。
希翔の父は有名な画家――野々垣崇(たかし)だった。希翔も父親が描いた絵が大好きで、多くのファンがいる父親を尊敬し、自分もそうなりたいと願っていた。
「そうなんだ。そうだよね」
「はい」
その後、希翔はしばらく保護者と話をした。その間、夢姫は会話に入ることなく、希翔の後ろに隠れて、その会話を聞いていた。
しばらくしてお祭りの開始時刻になり、同級生と保護者の集団とは別れた。
「屋台、見に行こう?」
会話中、希翔の後ろにずっと、隠れていた夢姫が言った。
「そうだな! つか、ひめ、何でずっと隠れてんだよ?」
「だって……。恥ずかしい……」
「まったく」
希翔はそう言って笑った。
二人はその後、一緒にお祭りを楽しんだ。
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