4人が本棚に入れています
本棚に追加
希翔は遅れた理由を言って、夢姫に買ってきたラムネを手渡した。
「ありがとう」
「ひめ」
「なに?」
「手、だして」
「なんで?」
「いいから、早く!」
「……はい」
夢姫は不思議そうにしながら、手のひらを希翔に向けた。
「ちがう、ちがう!」
希翔は自分の手の甲を夢姫に向け、「こうして」と言った。
夢姫は希翔に言われるがまま、「はい」と言って、手の甲を希翔に向けた。
すると、希翔は夢姫の薬指にさっき夢姫が物欲しそうに見ていた、おもちゃの指輪をはめた。
「やっぱり、似合うな! 父さんたち、ここに指輪してたから、ここでいいんだよな?」
「な、なんで?」
希翔の突然のプレゼントに夢姫は頬を赤らめ、動揺を見せていた。
「だって、ひめが欲しそうにしてたし。それに、似合うと思ったから」
「……ッ!」
夢姫は頬を真っ赤にして、無言で俯いた。
「喜んでくれて、よかった」
「あきくんの、ばかぁ。……ありがとう」
それに希翔は「おうっ」と笑った。
そして、夜になり、空に花火が打ち上げられた。
パァーン、パァーンと打ち上げられていく花火。数は多くなかったが、打ち上げられる花火は光輝いて、とてもキレイだった。
「花火、キレイだったな?」
花火を見終わった希翔が言った。
「うん。すっごく、キレイだった!」
最初のコメントを投稿しよう!