プロローグ 純粋な二人の過去

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希翔は遅れた理由を言って、夢姫に買ってきたラムネを手渡した。 「ありがとう」 「ひめ」 「なに?」 「手、だして」 「なんで?」 「いいから、早く!」 「……はい」 夢姫は不思議そうにしながら、手のひらを希翔に向けた。 「ちがう、ちがう!」 希翔は自分の手の甲を夢姫に向け、「こうして」と言った。 夢姫は希翔に言われるがまま、「はい」と言って、手の甲を希翔に向けた。 すると、希翔は夢姫の薬指にさっき夢姫が物欲しそうに見ていた、おもちゃの指輪をはめた。 「やっぱり、似合うな! 父さんたち、ここに指輪してたから、ここでいいんだよな?」 「な、なんで?」 希翔の突然のプレゼントに夢姫は頬を赤らめ、動揺を見せていた。 「だって、ひめが欲しそうにしてたし。それに、似合うと思ったから」 「……ッ!」 夢姫は頬を真っ赤にして、無言で俯いた。 「喜んでくれて、よかった」 「あきくんの、ばかぁ。……ありがとう」  それに希翔は「おうっ」と笑った。 そして、夜になり、空に花火が打ち上げられた。 パァーン、パァーンと打ち上げられていく花火。数は多くなかったが、打ち上げられる花火は光輝いて、とてもキレイだった。 「花火、キレイだったな?」 花火を見終わった希翔が言った。 「うん。すっごく、キレイだった!」     
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