プロローグ 純粋な二人の過去

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プロローグ 純粋な二人の過去

白を基調とした高級感ある二階建ての一軒家。敷地内には庭とガレージがある裕福そうな家の前に小学生くらいの女の子がやってきた。 女の子の名前は芦屋夢(あしやいぶ)姫(き)。 前髪は長く、メガネをかけ、地味で暗い印象の夢姫はインターフォンに背伸びし、必死に手を伸ばして、ボタンを押した。  すると、家の住人であろう女性の声がインターフォン越しに聞こえてくる。 『はい』 「あしやです」 夢姫は声が届くよう再び、背伸びして言った。 『ひめちゃん? 今、開けるね』 この家の人とは知った仲なのだろう。先ほどの女性がすぐに家の中から出てくると、夢姫を家に招き入れた。 「おばさん、あきくんいますか?」 「たぶん、また、自分のアトリエじゃないかな」 「ありがとうございます。いってみます」 夢姫はそう言って、お辞儀すると二階へ上っていき、四部屋ある部屋の中から迷うことなく、奥の部屋に向かった。 部屋のドアを開けると、中では夢姫の幼馴染、野々垣(ののがき)希(あき)翔(と)が楽しそうに絵を描いていた。     
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