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「柳町君!! また家賃を払う前に電気代を払ったの!?」
「払ってないです!! 大丈夫です!! その辺はちゃんとしてますから!!」
「アンタの生活なんて犬も食わないんだから、早く次の人を呼んでちょうだい!」
「わ……わかりました」
京子先生から話を振ったのにヒドイ……
犬も食わないのは夫婦喧嘩だと思いつつも、僕は黙って次の相談者を呼びに行った。
「次の方どうぞ」
ゆっくりと相談所に入って来たのは、20代前半と思われる暗い顔をした男性だ。
左足にギブスをし、松葉杖をついているその男は、右腕も折れているせいか三角巾もしている。首周りは火傷の跡も凄かった。
ソファーに座るのも一苦労という感じだったが、何とか腰を据えて一旦は落ち着いたようだ。
ニット帽を脱いだその男の頭は、サイドだけが肩まで伸びた長髪で、真ん中がハゲ上がっている。そして何故かそのオデコには『無傷』というタトゥーが入っていた。
「ま……待合席で書いていただいた、問診票を見せてもらってよろしいですか?」
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