第1話 もてあそばれる事、山のごとし

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 僕は心の中で「どないやねん」と思いながら、恥ずかしそうに渡す問診票をその男から受け取り、そのまま先生に渡した。 「谷木田 ヘーゼルさん。22才」 「はい」  小さくて聞き取りにくかったが、返事をしたその男の声は、明らかに喉が枯れていた。 「ちなみに、ここは病院じゃないという事は分かっていますよね?」 「は……はい」  確かに、端から見たら、ただの怪我人が病院に通院しているように見えるだろう。 「現在は所属なし。出演経験もゼロ。異能力者として開花してからは、メジャーでの活動は、ほぼ何もしていないという事でよろしいですか?」 「はい」 「希望としては、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()1()()()()()()()という事ですね」 「はい」 「いくつかオーディションは受けましたか?」 「はい。ワ○ピースや僕のヒーロー○カデミア、ジョジョの奇妙な冒○などを受けましたが、書類選考で落とされました」 「でしょうね」  相変わらず先生の言う事はきつい。     
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