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「どうか私のノートが戻ってきますように」
半信半疑のまま、私は破られて原型のないノートを投げ捨てた。
宝物を捨てることに抵抗はあったはずだが、その時の私はきっと限界だったのだ。
つい先ほどまで鏡のように静まり返っていた水面に輪が広がり、空の景色が揺れた。
『捨神池に捨てたものは、元どおりの姿になって持ち主の元へ戻って来る』
中学生にもなってそんな言い伝えにすがるほど、私は混乱していたのだと思う。
だけど、このノートだけは、大事な親友がくれたこのノートだけは元に戻して欲しかったんだ。
翌日、落書きされた机の引き出しから元どおりになったノートが出てきた時、私は驚くよりも前に大きな安堵に包まれた。
ノートが戻って良かった。
それにしても、あの言い伝えは本当だったんだ。
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