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ナツミは、私と同じように山の麓の古い家から中学校に通っていた幼馴染だ。
物心がついた時から親友という間柄で、何をするにも一緒だった。過疎が進んだ田舎の小学校で、同じ学年の子はナツミだけだった。
当然のことながら、この中学校に入学した時の顔見知りもナツミだけだった。
入学した時から、クラスメイト達に田舎者であることをからかわれた。隣のクラスのナツミも同じだったらしい。しかし、私にはナツミがいれば十分だった。だから、ナツミ以外の友達はいらなかった。
しかし中学に入学して半年ほど経ってから、ナツミは新興住宅地へ引っ越すことになった。土地を管理していたナツミのお婆ちゃんが高齢だった事もあり、土地と一緒に古い家を手放すことになったのだ。
『フタバとナツミはずっと友達』
引越しの前夜、ナツミはそうメッセージの書かれた新品のノートを私にくれた。私もナツミに同じようにしてノートを贈った。
引っ越した後でも、私とナツミは学校で一緒に過ごした。私達には、私達以外に一緒に過ごす相手がいなかった。ナツミが私のクラスに来ることが日課になっていた。
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