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灰色の空、湿った風、石造りの建物が入り組んだ迷路、覇気のない住人。
この町を構成するものは、大抵こんなつまらないものである。
唯一の観光地の海だって、ドブのように汚い。町は海に向かって傾斜になっており、どこを歩いても平面な道などない。
ここは、居場所を失った者達が集まる弱者の町だ。
職を失った者、愛する人を殺された者、生きる意味を見失った者。皆、この町に逃げてきたのだ。
町があれば、統治する者もいる。彼はブラックと呼ばれ、皆に慕われている。しかし、誰も顔を知らずどこに住んでいるかも分からない。
ただ、ブラックという男がいて、彼こそがこの町の統治者であることだけは明確である。
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