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ある日、ブラックは道を下っていた。
灰色の帽子を深く被り、灰色の外套のボタンを上までしめ、俯きながら歩いていた。
「ブラックさん」
花屋の娘が彼に声をかけた。
彼女の名前はブルー。家族と婚約者を殺された哀れな娘。1人でこの地にやってきて、小さな花屋を始めた。
「これ、受け取っていただけます?」
彼女が差し出した花をブラックは受け取り、頭を下げる仕草をした。
ブルーが手を振るのを背中で感じながら、再び道を下っていった。
彼女が渡した花束は、白いユリの花だった。
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