第一話 初恋レディ~ときめきをあなたに~

1/1
前へ
/26ページ
次へ

第一話 初恋レディ~ときめきをあなたに~

私の名前はリリーダ・キャラベル。 とある物語の中の主人公という役割だ。そう、私は主人公なのだ。本当は名前なんて存在しない。この世界に生まれてしまったために、リリーダという名前が出来た。これから私の話をしようと思う。 いえ、私からみたあの小さな女の子のことを。 リリーダ・キャラベルとして生を受けた私には、父親がいた。しかし、父親は仕事一筋の人間で、自分の娘が同じ魔法の特異体質として生まれたことに対して、特に大きな感情は持っていないようだった。理由は知っている。私は特異体質として生まれたというのに、才能がなかったのだ。そうそうに諦めた父親は、仕事の関係であるお嬢様の面倒をみていた。私がそれらに関わることはなかった。 親戚の家の宿屋に住んでいるため、なんとか力になりたいと魔法を勉強することは続けていた。大きくなるにつれ町では評判の、魔法の特異体質保持者として名が知られるようになっていた。ついに帰ってきたと思っていた父親。その父の意向で、ある学園に行かされることになってしまった。名立たる人が卒業しているという、ライトストーリー学園に入ることになってしまった。正直、王族やお金持ちの人と仲良くなれる気がしなかった。私はこの町にある学校に行きたかった。しかし、父親は私のためだからと学園に行かせるよう仕向けてきた。そんな父親の意図をくみ取れないほど私は子供ではなかった。 学園に行く前、父親からこんなことを言われた。 「リリーダ、学園で困ったことがあれば、助けてもらえうように口添えはしておいたから。」 そんなことを言われたが、誰のことを話していたのか何も教えてくれなかった。不安だけを持って、私はライトストーリー学園に足を踏み入れることになった。 学園は、それはとてもひどいところであった。いくら魔法を持つ特異体質だからと言って、庶民である私はいじめの対象となった。それはとても地獄のような毎日だった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加