364人が本棚に入れています
本棚に追加
/569ページ
金曜の夜は、タイミングが合うと、同期である千秋と仁、3人で飲む。
千秋は私と同じ年齢だが、アメリカの大学在学途中で、専攻を変更したという仁は、2年遅れて卒業した。
なので、私たちの2歳年上にあたる。
飲み会予定の多い仁が、金曜に予定がないことはあまりないのだが、予定がなかったり、今回のようになくなったりすると、私たちは決まって一緒に飲むのだった。
千秋は自動車、家電メーカーといった業界を担当するチームの営業をしている。
元々アナウンサー志望で、某大手テレビ局の新卒採用で、最終選考まで選ばれたという千秋は、社内でも美人営業として通っている。
肌は白く透き通り、鼻はすっと高く、綺麗で自然と上に伸びるフサフサのまつ毛は、マスカラなんてしなくても十分な程で、同じ女子としてはすごく羨ましい。
千秋と二人で飲んでいると、男から声をかけられたり、お酒がどこかのテーブルから送られてくるということも当たり前のように起こる。
「じ~ん~、江川さんに振られちゃったんだって?」
千秋はニヤニヤしながら仁をからかった。
最初のコメントを投稿しよう!