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「でも仁の場合、そのキャラだよね。お姉さんに甘え上手キャラというか。」
「甘え上手キャラってなんだよ。」
千秋の辛口コメントに、仁はもう慣れている。
「んー、愛嬌あって仕事一生懸命な若い男の子、みたいな。
顔も一応かっこいいけど、可愛い要素もちょっとあって、年上から好かれそうな感じっていうの?
それにすらっとしてるから、この子ちゃんと食べてるのかしら~って、ちょっと母性本能をくすぐられる感じが、年上女性にはどつぼなのかもねぇ。」
「あー、ちょっと納得かも。」
私は自分の前に運ばれてきた、ホッケの開きをつつきながら言った。
「なんだよその上から目線。俺のほうが諸川と理沙より一応歳上なんだけど。」
諸川とは千秋の苗字だ。
仁は千秋のことを苗字で呼んでいる。
「褒めてるんだよ?ノリもいいし、あと、これはこの前思ったんだけど、女の褒め方が上手!」
「何だよそれ。俺いつ褒めた?」
「ほら、私がベージュのネイルしたことあったじゃない?
仁、『この色いいじゃん、諸川に似合ってる』って言ってくれたじゃん。
私あぁいう地味な色ってあんましたことなくて気に入ってなかったんだけど、そう言われて地味に嬉しかったよ。」
「あぁ、あったな。そんなこと。」
私も仁が、女性の喜ぶ細かいポイントを抑えているのは、前から気がついていた。
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