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わざとっぽくなく、さり気なく、ちょっとした女子の美に対する努力に気づき、褒める。(私は対象外。)
しかも、年下からおばあちゃんまで万人受けしそうなかっこよさと、どこか少年っぽさが残るような、ちょっと可愛い感じの顔。
商談後、帰り際に見せる仁の笑顔に、クライアントの女性たちは、女がときめいた時の表情を見せる。
私と千秋はそれを、仁の『ノックアウト営業スマイル』と呼んでいる。
私はいつも隣からそれを見るが、実に爽やかな笑顔で、視線が「またあなたに会いたい」と伝えている、そんな感じ。
そして、だいたい、再び必要があれば、アポは簡単に取れるのだった。
なので、『ノックアウト営業スマイル』。
世渡り上手でお調子者キャラは、営業という仕事が適職なのかもしれない。
でも、しつこくはなくて、引き際もわかっているから、けむたがられないし、男仲間も多い。
そして、仕事で決めなきゃいけないところは、一転変わって超真面目な顔と声のトーンになる。
そのギャップみたいなのものが、もしかしたら女性にとってはたまらないのかもしれない。
何より、仁のコミュニケーション能力の高さにはいつも感心させられる。
「理沙も諸川もそんなに俺のこと褒めちゃってー。
よーし!今日は俺が奢ってやる!
・・・って言いたいけど、また次回ね。
コーヒーとクッキー奢ってやろう。」
女心のくすぐり方を本能的に知っている、それが仁だ。
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