3、女心をくすぐる営業マン、仁

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「俺もお昼にこれ見て、なんとなく気になって調べたんだよ。 なんかいいよな。 ついつい見ちゃう。」 街には広告なんて、全部見ていられない位、言ってしまうと、嫌なくらいに溢れている。 私たちは、いかにそれが埋れてしまわないよう、人の目に、心に、頭に残し、お店で購入してもらうように繋げるか。 映像、紙、ネット、文章、ラジオといった媒体を使って、『これいいですよ、買ってください!』というのを、簡潔に、魅力を最大限に凝縮して、発信する。 それが、私たちの仕事。 マーケティング、デザイナー、クリエイティブ、メディア、プロモーション、また撮影スタッフなどなど、実に様々な人たちが携わっているというこも、この仕事を始めて知った。 その商品の消費者ターゲットはどこにあるのか。 どれ位の予算がかかっているのか。 どこの会社の誰が手掛けたものなのか。 たった15秒のCMも、雑誌に掲載されている小さな広告も、私たちにとって、それは広告という名前をした、実に奥深い、立派なアート作品になる。 千秋をハチ公口で見届けると、私と仁は東横線へと向かった。 「じゃあ2件目行きますか。」
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