4、深夜の本音トーク

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「改めてよかったね。アンベリールの件。頑張った甲斐が報われそうだね。」 このことは、今日の出来事で一番嬉しいことだった。 「本当、青木さんとのリレーション築くのにどれだけ時間かかったことか。」 青木というのはアンベリールの広報担当者だ。 仁が去年のコンペ後、断られ続けながらも頻繁に広報担当者を訪れていたことを知っていた。 コンペ後はさすがに、かなりウザがられたらしいが、それでも諦めず、業界の動きや情報などを持って行き続けたのだった。 折れずに通いつめた仁の根性が、今回の社長同席商談へと繋がった。 仁は鞄の中から、アンベリールの新作パンフレットを取り出した。 「可愛いよね、アンベリールのデザイン。私もここのピアス、欲しいんだよね。」 「どのデザイン?」 仁が持っていたパンフレットをめくりながら探した。 「新作じゃないから載ってないかも。ベーシックな小さいハートのデザインのやつ。」 「あー、ローズってゆうシリーズのやつ?それ、ホワイトデーで結構出たらしいよ。」 「ホワイトデーか。今となってはまるで自分とは無縁のイベントだな。」 私はため息交じりで言った。 「右に同じく。」 「なに言ってんの。仁は綺麗な女の人たちとデートしてるんだし、十分じゃん。」 最低週2、3回はクライアントと食事に行く位なのだ。 また、クライアントとの接待飲み会という名の、いわゆる接待合コンのようなものも、当たり前のように行われていていて、女性と出会うのに苦労は全くないはずだった。
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