4、深夜の本音トーク

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「まぁ美人な人と飯が食えるのは悪くないけど、デートっていうのとはちょっと違うだろ? デートってゆうのは、気になってたり、好意のある相手と出掛けることじゃない?」 「まぁね、デートっていうのはちょっと冗談だけど。でもいい感じになって、あれこれなったりすることだってあるんじゃないの?」 「・・・なんだよ。あれこれって。」 仁は目を細め、怪訝そうな顔で私を見た。 「だからさ、ご飯の後に、親密な関係になったりも、あるでしょ?」 「お持ち帰りって話?」 私は深く頷いた。 仁は、わざとらしく「あー」と声を出しながら、脱力したようにソファの背もたれにもたれかかった。 「なんでそーなんだよ。」 腹の底から出したような、低い声で言ってきた。 「だって、広告代理店マンでしょ?そういうの、普通にあるもんじゃないの?」 営業(特に広告代理店)にはそういうこともよくある話だと聞いたことがある。 社内でも、どこチームの営業が、どこ社の誰それと深い関係になっている、とか、そういう噂が流れたりすることがある。 そして何より、広告代理店の営業というのは、実によくモテるものである。 広告代理店という職業自体が、モテ職業だと言われるが、その仕事をこなしているからこそ、モテ職業なのだと、一緒に仕事をしていて思う。 当たり前であるのだが、彼らはいかにいいプランを立て、相手を喜ばすことが仕事のようなものである。 発想力は豊かじゃないと務まらないし、色んな人と上手く関わるスキルもいる。 場をまとめることはもちろん、必要に応じて、上手く盛り上げるタイプが多い。
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