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「そういや、昨日一緒に飲んでた子とはあれからどうしたの?」
昨晩も有田さんと飲んでいた。
有田さんの知り合いが、何人か女の子を連れて来ていて、そのうちの1人とずっと話していた。
というよりかは、話を聞かされていた、の方が正しいかもしれない。
正直、どうでもよかったが、みんなそれぞれ個々に話し込んでいるような感じになっていて、おまけに有田さんは、ケイコに帰ってこいと呼び出された、なんて言ってすぐ帰るし、仕方なく話を聞いていたというような感じだった。
それに、女の子に対して話を止めてしまうのは、やっぱり失礼な気がしてしまう。
結局、その子が務める金融会社の全容を、全て把握できたんじゃないかと思うくらい、彼女はよく喋った。
それがよかったのか、この後2人でゆっくり飲まない?と誘われた。
だがそこは、「明日早くて」と嘘をつかせてもらった。
「普通に帰りました、ひとりで。」
あなた、俺をあの状況に置いて先に帰ったよね、という少々の憎しみを込めて言ったつもりだが、多分伝わってはいないだろう。
この人は自分の結婚生活に満足で、そんなことはどうでもいいに違いなかった。
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