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それも納得はできた。
有田さんは、男が理想とする女性と結婚しているのだ。
人を包み込む温かさがあって、周りにいる人たちを自然と笑顔にさせるパワーを持っていて、控えめだけど自分の揺るがない意思をしっかりと持っている、それが有田さんの奥さん、ケイコ。
そうやってケイコのことを褒めると、「俺の妻に惚れてる?」って本気で聞かれるけど、そういうわけではない。
羨ましくは思うが、誰かのパートナーを奪い取るなんて気は、さらさらない。
有田さんとケイコは、誰からもきっと崩されることはないのだろうし、そんなことあって欲しくないとすら思う。
それくらい、パーフェクトな夫婦。
ひとつ確実に言えるのは、自分はそういう子とは、どういうわけだか出会わない。
仕事中での出会いは、まずないだろう。
結局はバーとかクラブとかで、一緒に行った人の紹介とかで知り合ったりすることが多い。
その場で自然と知り合ったとしても、素朴な感じの子、というのは、どういうわけだか、見事に現れない。
紹介される子たちは、綺麗な子ばかりで、不満があるわけではない。
いい子もいる。
気の合う子だって、いないわけではない。
だが、その時だけの快楽や時間潰しで、後になるとどうでもよくなってしまう。
そんなことを求めているわけじゃないのに。
だが、他のやり方も、よくわからない。
そして、いつの間にか有田さんとケイコには『あそびにん』と言われる始末。
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