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結局、いつも虚しいだけ。
その虚しさを埋めたくて、また適当な子と適当に遊んで、朝が来る。
仕事がない日は、いつもそんな感じ。
あずさとの付き合いも、結局は彼女という形だっただけで、他の子とそんなに変わらなかった、と今はわかる。
彼女は結局、ステイタスに惚れていて、俺自身に恋をしていた訳ではない。
だからサッカー選手と結婚もするわけだ。
彼女のことだから、日本代表選手じゃなかったら、多分結婚はしないのだろう。
もちろん、そういう相手を落とせる位の女であったことは、間違いない。
モデルだから見た目、体調管理とか、それはもう超完璧主義。
服、化粧、朝のヨガ、またはジョギング、夜の長いバスタイム、マッサージ、色んな種類の保湿、ストレッチ、瞑想などなど。
途中でビーガンになると言い出し、チーズは食べなくなるし、他のモデルの子たちと、いつも比べ合い。
あの子より細くならなきゃ、綺麗にならなきゃ、新作のブランドバッグがなんとか、かんとか。
それが、悪いってわけではない。
ファッションの勉強を夜中にやってたり、どんなに寝るのが遅くても、朝5時には必ず起きて、ヨガやジョギングをしてた。
モデルに対するプロ意識は俺も尊敬した。
でも、彼女の世界はいつも彼女が中心だった。
誕生日やクリスマス、バレンタインに高価な物をお願いされて、もちろん欲しいものをプレゼントした。
でも、俺は誕生日を忘れられ、モデルの子たちとの出先から、日付変わるギリギリに、電話で祝福されただけだった。
プレゼントはまた渡すね、と言ったきり、あずさから何か貰った記憶はない。
何か欲しかったというわけでは、もちろんない。
ただ、あずさといても、結局はやっぱり虚しかった。
俺らの関係は、お互いにとって飾りのようなものだった。
だから、結婚を迫られた時、ジョークにしか聞こえなかった。
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