第1章

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 電話番だけでもいいと言ってくださいましたが、法律事務所の仕事はそれ自体がわたしにとっては憧れです。  裁判所への民事関係の訴状の提出、準備書面の校正や印刷。刑事事件の当該条文の摘出、ときには「きょうは留守電にしていいから、法廷を見に来なさい」と、伯父さまは公判の傍聴もさせてくれました。  法廷での伯父さまは、圧倒的な実力派弁護士の雰囲気です。もともと民法が専攻の方ですから、訴状で先行して弁論するときは、もう相手方の弁護士は負けを覚悟みたいな雰囲気が、わたしにもわかったものです。  いちど、徹夜で準備書面を作成しなければならないことがあったのです。いずれ和解になる民事訴訟でしたが、賠償金額が億単位でしたから伯父さまもいつになく集中していました。  その徹夜明けの裁判が終わった午後、わたしと伯父さまは裁判所に近いホテルのロビーで依頼人と事後の打ち合わせをしたのです。  裁判長の「次回は和解折衝を」という判断で、勝訴は明白でした。あとは金額の面で折り合うかどうか、という打ち合わせです。さすがに徹夜で疲れていたわたしは、居眠りをしそうな状態でした。依頼人が帰ったあとのことです。 「これで、ほぼ一件落着だ。由梨も疲れただろう、最上階に部屋を取ってあるから休憩をしなさい」  と、伯父さまが言ったのです。  わたしは思わず胸がときめいたのを憶えています。伯父さまの法律事務所は商工会議所や銀行が集中する繁華街にあり、裁判所とはかなり距離がはなれているのです。そんなわけで伯父さまがホテルで裁判資料を読むことは多いのですが、わたしもいよいよ伯父さまの半プライベートに付き合えるのだと思うと、胸が熱くなったのです。  でも、嬉しいのはそれだけではありませんでした。 「伯父さま。いっしょにシャワーを浴びませんこと?」 「うん……」  暑い時季の徹夜明けで、ふたりとも汗を洗い流す必要がありました。  わたしは強引に伯父さまのワイシャツのボタンをはずし、わたし自身もブラウスをひったくるように脱いだのです。 「ゆ、由梨」  伯父さまは一瞬おどろいたようでしたが、わたしのサインを受けとめてくださいました。萌えるまなざしで目をみつめ、伯父さまのインナーシャツを思いきって脱がすと、わたしはゆっくりとブラジャーを外したのです。
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