第1章

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 ゆっくりと動いてくれる伯父さまの腰に手をかけ、いまわたしは大人の女になったのだという実感を噛み締めていました。期待していた快感は、クリトリスでイクよりも曖昧な、それでも男性に抱かれているという実感が、わたしをオルガスムスの高みに押し上げたのでした。 「イクわ、伯父さま。イクっ!」 「由梨!」  その後、わたしは司法試験に合格し、司法修習生として隔離された生活のなかで新しい恋人、いいえ初めての恋人を得ました。伯父さまとの尊敬をこめた愛とはちがう、援け合うような愛がいとおしく感じられるのです。  ただ、問題なのは数回にわたって伯父さまの種子を受け入れたわたしの身体が、慎重に生活しなければならない時期にきて、いよいよ変調をきたしたのです。もう二ヶ月、月のものがありません。来月になったら検査に行く予定ですが、堕ろせる時期に処置を考えないと、とんでもないことになる。  いいえ、やっぱり好きだった男の子供を産んで、自立した生き方をわたしは追い求めたい。そんなわたしでもいいのなら、いまの恋人にもいっしょに苦労を分かち合って欲しいと、そう思うのです……。  たぶんわたしは、伯父さまとの関係を続けます。それも引き受けてくれるのでなければ、恋人とは恋人のまま、つぎのステージには進めないと思います。彼が世間なみの男のように性風俗や浮気に走るのは、その代わりにゆるしましょう。苛烈な嫉妬もあまい憧れも、女と男のドラマなのですから。 1
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