34人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
「あら、オールスターが勢揃い?」
オーナーママである涼子が、風格のある着物姿で出先より堂々と帰店した。数十人の客を引き連れて。
「商工会議の二次会は、うちですることになったの。フィクサーの面々を連れてきたから。皆、しっかり『お・も・て・な・し』、お願いね」
「やだ、フィクサーだなんて。涼ちゃん、人聞きの悪い!」
バシバシと四股を踏みながら口ごたえをしたのは、涼子の幼なじみであり、バー『渚』のママでもある元砂浜の女王・茂子だった。今や砂かけババアと呼ばれる皺だらけの顔をクシャクシャに縮めながら「ケケケ」と笑う。
美女だらけだと涼子に騙され、『渚』へと厄介払いされた過去を思い出したネズミ男が、立ち上がるなり茂子を指差した。
「出たな、妖怪!」
「ヨウカイ? 何か、用かい? なーんつって。誰が妖怪じゃ!」
男並の腕力を誇る茂子に思い切り延髄を叩かれ、ネズミ男は再び床に崩れ落ちた。
最初のコメントを投稿しよう!