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第1章 プロローグ
昔、秦麗、秀麗、灑麗という三つの国が大陸で争っていた時代がございました。争いに勝利したのは灑麗でした。
長い争いの中で灑麗の民は疲れ、荒地も多くなってきてはいましたが、徐々に昔の活気を取り戻していきました。
当時その国の帝の名は灑燕清といいました。お妃様を大変大事にされ、皇子は二人おられました。
先帝のそのまた前から争いが耐えなかった灑麗でしたので、帝は争いがなくなったことをこの上なく喜ばれておられました。
さて、二人の皇子ですが同じお二人からからお生まれになったのに性格は正反対でいらっしゃいました。
第一皇子の恍燕さまは十七の頼もしい青年です。文武両道で凛々しく、仕えている女官たちから大人気でした。
第二皇子の燕蘭さまはまだ十二ですが、こちらは可愛いらしくまた女官から人気なのでした。
次の帝にどちらがなるかで争ったりするのがよくある話ですが、どちらもそのような争いには興味がなく、しかし燕蘭さまはやはり長子である恍燕さまが跡継ぎになるべきだとお考えの様でした。
しかし幸せというものは長く続くとは限りません。その翌年お妃様が亡くなられたのです。
残された帝と二人の皇子は深く嘆き悲しまれ、皆夜も眠れぬ程でありました。
政事に精を出しておられた帝も仕事が手につかず、ただぼうっと毎日を過ごされます。
そしてついに位を息子に譲ることを考え始められました。
やはり帝も跡継ぎは長子からと燕蘭さまと同じ事を考えられたようで、次の帝は恍燕さまに決定し、恍燕さまは皇太子になられました。
しかし恍燕さまはこの混乱の中で自分が帝になっても出来ることは限られていると帝位継承の話を先延ばしになさります。帝は古くからの家臣に手伝ってもらいながら、どうにか政事を再開されました。
これはその後のお話です。
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