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「聞き忘れてたけど、嫌いな物とかってないよな?」
「ないない、全然ない」
康助は待ってましたとばかり、並べられた昼食の前に着席した。その様子に高柳が笑って差し向かいに腰を下ろす。
学校でも一緒にお昼を食べたことはないから妙な具合だったが、
「いただきます」
二人は行儀よく手を合わせると、まずは揃ってスプーンを握り締めたのだった。
薬がいらない程度、と言っていた割に高柳の料理の腕はなかなかのものだった。うまいうまいと忙しなくスプーンを口に運ぶ作業に没頭し、ある程度空腹が満たされてきた頃になってやっと、康助はずっと気になっていたことを切り出した。
「・・・なあ」
本当のことを言えば、それを聞くのはためらわれた。何も説明しようとしない高柳の態度を考えれば、聞かないでおいた方がいいのかもしれない。でも何事もなかったようにというのは、この場合どうしたって無理だ。
「あの子ってさ、やっぱ・・・幽霊っていうか、そういう類のもんになるんだろ?」
恐る恐る言って、上目使いに高柳を見やる。高柳はチャーハンをゆっくり咀嚼している。
少しの間があって、
「うん。まあ・・・」
視線を皿から上げないまま、ぽつりとした返事が返った。
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