四、

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 ピントが合っていくように、やがて元通りに一つの像が結ばれた時、なみの体はまた小さくなっていた。  面影を残した、幼稚園児程のかわいらしい姿が宙に浮かんでいる。手足を見下ろし自分の変化を確かめると、なみは困った風に微笑んだ。  康助の右手から、絆創膏が自然に剥がれて落ちる。まだ微かに血が滲んでいた手首の擦り傷は、綺麗に跡形もなく消えていた。 「くそっ!!」  高柳が、らしくない言葉を吐き捨てる。  腕の怪我もそうだった。なみが手をかざすと、深かった傷が動かせるまでに回復した。  ――傷付けるためじゃなく、こんな風にも力が使える。  なみは嬉しそうに笑ったけれど、高柳には喜ぶことはできなかった。直後、なみの姿が変わってしまったからだ。  自分への怒りに目眩がしそうだ。ただ力を使わせて、これでは何のためにそばにいるのか分からない。 『秋、そんな顔をしないで。康助君も、怖い思いをさせて・・・ごめんね』  呆然と立ち尽くしながら、康助はやっとすべてを理解した。改めて確かめるまでもなかった。  それはずっと何げない言葉で、或いは行動で、高柳となみが教えてくれていたものだった。 (・・・あぁ、そうか)  だから高柳は巻き込むことを躊躇していた。だからなみは一人になろうとしていた。     
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