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五、
十一月三日(月曜日)
届け物があったと母から連絡があって、康助は久しぶりに自宅へ顔を出した。
差し出されたのは、休んでいた間の授業のノートだった。昨日の夕方、ポストに入っていたという。
科目ごとにまとめられ、注釈もつけられたとても見やすいノートの最初のページには、島本達からの寄せ書きのメッセージが添えられていた。
真ん中に一目でそれと分かる島本の丸い文字。岡山の相変わらず汚い字につっこみたくなるが、きっと赤井が「康助も変わんねぇよ」と笑うに決まっている。
父が康助の欠席の理由を、どんな風に学校に説明してくれたのかは知らない。が、彼らのメッセージを見る限り、まるで武者修行の応援のようだった。
苦笑しながら言葉の一つ一つを目で追っていて、康助は瞳の中があたたかい液体に満たされるのを感じた。
からかうようであったり気遣ってくれていたり、書かれている言葉は様々なのに、ひとつだけ共通していることがある。島本達は申し合わせたように、必ず康助の名前から書き出しているのだ。いつも呼んでいるように、康助、康助、康助・・・と。
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