五、

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 康助は気合を入れ直すように、両手でパンと頬を叩いた。 「――よし!頑張ろうぜ!」  力を入れ過ぎて、少し頬が痛い。何の脈絡もなくそう言って笑った康助に、高柳も力強く頷いたのだった。 「ああ」     十一月四日(火曜日)  夢の中で誰かに呼ばれたような気がして、康助は目を覚ました。  むっくりと布団の上に体を起こすと、隣のベッドでは高柳がまだ安らかな寝息をたてている。  いつも起こしてもらっている康助が、先に目覚めるというのは珍しいパターンだ。時計を見ると午後一時過ぎ。下ろされたブラインドを見つめ、康助は寝なおすことなくそっと布団を抜け出した。顔を洗って、台所にいた西村さんに出掛けてくると伝言し、森に向かった。  異変にはすぐに気が付いた。足を止めずに看板の前を行き過ぎながら、工事関係者らしい数人の大人が、放置された資材を前に何か話し込んでいるのを横目に見た。見つからないよう大きく迂回して、違うルートから森に入った。  ニーニャの前に立つと、なみがすぐに姿を現した。 「なみ、工事の関係者が来てる」  康助が開口一番にそう言うと、 『ええ。今朝からずっと、何人も出入りしてる』     
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