五、

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『康助君はちゃんとニーニャの声を受け取ってるわ。秋がそう言ってた。聞いてない・・・?』 「え?」  康助は改めてニーニャの白い姿を見上げた。 「いや、だって俺には何にも聞こえないけど・・・」 『言葉として聞こえてる訳じゃないの。康助君にもニーニャが白い姿で見えているんでしょう?』  頷くとなみが驚きの発言をした。 『じゃあ間違いない。ニーニャの白い姿は、想う人の姿を真似たもの。ほかの人にはごく普通の木にしか見えない』  初めて知らされた事実に、康助はそれこそポカンと口を開けた。高柳が伝え忘れていただけなのかもしれないが、それにしたってどうしてそんな大事なことを今まで誰も教えてくれなかったのだろう。  ニーニャが待ち続ける、白い姿をした想い人――。康助は想像してみた。ニーニャは長生きだから、その人は白い着物を着ていたのかもしれない。或いは白髪の老人だったのかもしれない。髪の色で言うなら、もしかして外国人だったという可能性もある。  康助は確かにニーニャの声を受け取っていた。感動しながら、ひとつの疑問が浮かんだ。 「でも、なんでほかの人には見えないんだ?」     
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