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『そうね。ニーニャには分かるのかもしれない。同じように片思いをしている人の気持ちが。ニーニャの声を聞いたり、受け取ることができるのは、いつもそうしたどこか淋しい人達ばかり』
(うわー・・・)
自分で聞いておきながら、康助はあまりの恥ずかしさに片手で顔を覆った。本当にもういろいろばれすぎている。くすっと笑うなみの声と、ニーニャの葉音がやさしく重なって響いている。
(・・・もうすぐなくなるんだな)
なみもニーニャも、このやさしい空間の丸ごと全部――。
失う痛みを知っている。この手には何の力もないことも・・・。奪うなとどれだけ叫んでみたところで、不法侵入しているだけのただの高校生だ。
『私ね、最期の瞬間までニーニャのそばにいたかった。守れなくても、せめて一緒にいたかった』
なみが小さな手を伸ばして、ニーニャの幹に触れる。そのままそっと額を当てた。
『ずっと甘えて、助けてもらってばかりで。・・・何も返せないままなのが心残り』
なみは、先に消えるのが自分だと確信しているかのようだった。
「まだだ、なみ。まだ何も終わってないだろ!?」
康助は即座に反論した。が、
『康助君、もうすぐよ。次が最後。どんな結果になっても私は消える』
なみの言葉は予言めいていた。
『だから、秋を・・・お願いね。いつも平気そうな顔をしてるけど、秋もほんとは弱くて、とても淋しいの』
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