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台所から追い出されてしまったことを含めた勝手な感想を胸の内でぼやきつつ、部屋の主の了承のもと、CDでも聴くつもりで早速机の隣の棚を物色する。
そこそこ枚数のある中で康助が選んだのは、夏休みに公開されたSF映画のサントラだった。康助も見に行って、結構気に入っていた。
映画の冒頭にも流れた重厚なサウンドに耳を傾けながら、ベッドのそばに腰を下ろす。印象的だったシーンが散りばめられたジャケットを手にしつつ、棚に埃もないきちんと整頓された部屋を見回す。
郁子の部屋も隣にあるからもう少し狭いけれど、家具の配置も本棚の数も、康助の部屋とそう変わらない。違うのは、床に積み上げられた漫画だの、脱ぎっぱなしの洋服だの、康助がいつも叱られているものが存在しないことだ。
成績も良さそうだし、実はゲーマーだったり汚部屋だったり、何か一つくらいツッコミ所があってもよさそうなものなのに、家でもこんなにきっちりしていて、料理までできてしまえば出来過ぎだ。
ふと、机の上に置かれた写真立てが目に止まって、康助は吸い寄せられるように近付いた。飾られていたのは、家族でピクニックに出かけた時の記念写真だった。よく晴れた青空と緑の芝生を背景に、若い夫婦と幼稚園の頃の高柳が写っている。みんな満面の笑顔で、カメラに幸せを向けている。
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