六、

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「いいえ、本当よ。分かってるんでしょう?もう一人のことを言っているなら、さっき消えたわ。やっと一つになれたの」  少女の唇が動いて言葉を紡ぐ。一番の違和感はそれだった。声は内側から響くのではなく、直接鼓膜を揺らしている。 「あんなに弱って、私が何をしていても気付くこともできなかったのに、いつまでも必死にしがみついて。なかなか全部を譲ってくれないから、本当に苦労したのよ」  口調もわざとらしい溜め息も、いつも儚げで後ろめたそうにしてなみとは比較にならない程、生き生きとしている。 「嘘だ・・・」  高柳が呆然と呟いた。 「しっかりしろ、高柳!なみが消えたなんて、でたらめに決まってる!」  ――次はもう、私は私ではいられないかもしれないから。  脳裏に甦ったなみの言葉も、康助は全力で否定した。 「本人が言ってるのに、信じてくれないなんてひどいのね。でも・・・いいわ。こうして来てくれただけでも嬉しいもの」  少女の言葉に反応し、触手が二人に向かって伸びてきた。高柳を庇うように、康助がニーニャの枝を構えて前に出る。 「康助、何を――」 「お前、丸腰だろ?いいから、俺の後ろにいろ」     
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