一、

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 高柳に呼ばれ慌てて後を追ったが、あの一瞬の光景が瞳の奥に灼き付いて消えない。淋しいとか切ないとかよりもっと・・・。痛い、と思った。少女は、何だかとても痛い感じがする。 「じゃあさ、やっぱりこの世に未練とか心残りとかがあって、あそこにいる訳なんだろ?そういうのって、よく分かんないんだけどさ、その・・・。成仏っていうか、ちゃんと供養みたいなことしてあげなくていいのか・・・?」  相手の顔色を窺いつつ、精一杯のつたない問いかけを試みる。高柳は相変わらず目線を落としたまま、反応はすぐには返らない。  ・・・やはりこれはまずかっただろうか。康助は内心チッと舌打ちした。  口にするのは簡単だけれど、それができない理由があるからこそ、あの子はああしてこの世に残っているのだろう。何も知らない自分が口を挟めるようなことではない。出過ぎた真似をしていることは承知の上だったが、康助はその辺の事情を知っていそうな相手の返事を、じっと睨みつけるようにして待った。  スプーンの先でチャーハンをつつきつつ、高柳は歯切れ悪く頷いた。 「うん。・・・そう、だな」  そこでCDの音が途切れて、部屋に静寂が訪れた。場が持たなくて、まだ皿に残っていたチャーハンを同じくかきまぜていると、 「あの子は――」  ようやく自ら発した言葉を、どこか居心地悪そうに高柳はすぐに言い換える。 「なみは――――」     
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