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「三番目の三奈お姉さんは地上にいるんだけど、地上基地の統括責任者というか、月読のシステム全体を動かしてるの(注3)。凄いでしょう?」
「そうなんだ。お姉さんたち、凄いなあ」
「でもね、わたしはダメな子なの。何もできないから、どこにも行かせてもらえないの。ぐすん」
月読波奈は泣きはじめた。
いつものように泣きはじめた。
思い出してきた。サークルの飲み会の時、泣きはじめた彼女を慰めるためにデートの約束をしてしまったのだ。
(晴明さま、この子、どう見てもメンヘラですよね? 言ってることが支離滅裂ですし、リストカットとかしてないですかね。大丈夫でしょうか?)
(その心配はないようじゃ。まあ、満更、間違ったことも言ってないようだが、3月11日まで彼女を励まし続けることが、お前の使命だと思ってくれ)
(はあ、そうですか。『超デート理論』がこんなにつらいとは思いませんでした)
(わしなんか、『超デート理論』の上級編である『超ヒモ理論』を極めているが、これも結構、つらいぞ)
(『超ヒモ理論』! 何か宇宙の神秘を感じるような理論(注2)ですね)
思い出した。
確かこのデートで振られた原因はこの重さというか、支離滅裂な月読波奈の言動に耐え切れなくなって、受け止められなくて振られたのだ。
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