第一章 現代過去転生編 東日本断層

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 先代の秘密結社≪天鴉(アマガラス)≫のリーダー、安堂一郎の親戚筋で東北の安東家出身である。  3.11の東日本震災で福島の天山原発は四基のうち二基がメルトスル―を起こし、地下数百メートルに沈んだ核燃料デブリによって放射性水蒸気が発生、東京の空も天候不順に見舞われるようになった。  その事態を受けて、秘密結社≪天鴉(アマガラス)≫の人脈を駆使して政権与党の民政党の金山総理を更迭、若きの代表、安東要総理が誕生した。   ちなみに、安堂一郎は神沢優の部下である公安警察の安堂光雄の父親であり、五年前に不慮の死を遂げていた。 「東日本断層は約幅十キロで、福島から北西に伸びて日本列島を両断しています。鉄道、道路網は全く使えず、東北への交通手段は船、もしくは航空機しかないです。現在、自衛隊の輸送ヘリで被害地域への救護活動中ですが、何分、地震で関東全域も崩壊していますので充分な救護活動はできていません」  神沢優の状況報告を安東要は冷静に受け止めようとしていた。 「私にできることは、もはや何もないのか?」 「そうですね。今は自衛隊などによる救護活動に全力を注いでます」 「そうか」  力なく安東要はつぶやいた。
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