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だが、異変はそれだけではなかった。
「あれはメイドロイドちゃん!」
オタクのひとりが叫んだ。
地下迷宮の闇の中に可愛らしいメイド服の美少女が現れていた。
蛍のように淡い光を放っている。
それは今、アキバのオタクたちの間で人気沸騰の≪メイドロイド 夜巫女≫であった。
姿は冥途カフェにいた店員さんと同じ清楚な黒と白のメイド服に、何故か両手にダイコンを持ってるのがポイントだ。
これを振り回しながら、歌と踊りのパフォーマンスを繰り広げるネットバーチャルアイドルでユーチューブに映像が多数アップされている。
「かわいすぎるぅ!」
ネットオタクが誘われるように盾を手放して、メイドロイドに近づいていった。
「待て! ≪メイドロイド 夜巫女≫はバーチャルな存在だ。実在してるはずがない」
メガネオタクが仲間の油断に疑問の声を上げた。
無駄にメガネをクイッと持ち上げるアクションでインテリジェンスをアピールする。
「俺がいく、お前は下がってろ!」
屈強な筋肉を誇るサバゲーオタクが迷彩服で飛び出す。
ネットオタクは我に返って、すごすごと引き下がった。
何かの催眠術のようなもので、誘い込まれたのかもしれない。
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