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(安東要、おぬしの願いを叶えてやろうと思うが、どうだ?)
いきなり、天から声が降ってきた。
「まさか……、安倍晴明さまですか?」
安東要は思わずそんな言葉を発した自分自身に驚いた。
(なかなか勘がいいな)
「あの、願いを叶えるというのは?」
(わしの転生術で、おぬしを過去に送り込んで東日本の悲劇の歴史を改変する手伝いをしてやろうということじゃ。どうする?)
「いや、転生術というのは、私は一度、死ぬことになるのですか?」
(そういうことじゃ。その覚悟はあるか?)
「そうですね。それが叶うなら、私の命など惜しくはありません!」
思わず声が大きくなっていた。
(では、そうしようか)
心の準備をする暇もなく、安東要の意識は再び闇の中に沈んでいった。
†
気がつくと、安東要は新宿のフルーツショップの側に立っていた。
ケータイを見たら、2011年3月1日の火曜日のAM11:30である。
何となく記憶をたどると、この日は女の子とデートしてたような気がする。
ランチの待ち合わせだよ、確か。
ちょっと待て。確か夢の中で安倍清明が出てきて、過去に転生させてやるとか言ってたよな。
自分は一体、『だれに』転生したんだ?
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