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安東要あわてて駅のトイレに駆け込み鏡を見た。
若い24歳の安東要自身がそこに映っていた。
「ええ!」
思わず、小さな叫び声を上げてしまう。
転生といえば、何かこう魔法使いとか、勇者とか、魔王とか、特別な能力がある人間に転生するものだと思っていた。ラノベの読みすぎだが。
平凡な何の特殊能力もない、若いだけの自分自身に転生するって、それって、ただのタイムスリップじゃないのか?
2011年3月1日の東日本大震災が起こるわずか10日前とか、時間なさすぎだろう。
10日でどうやって歴史を変えるんだ?
(まあ、落ち着け。それはわしがこれからゆっくりと話してやろう)
脳の中に声が直接ひびいいた。
「安倍清明さま? いや、音声ナビゲートつきですか?」
(そうだ。親切だろう)
確かに親切だけど、何か違うような気もする。
「それで、これから何をすればいいのですか?」
(そうだな。最初のミッションは、この後にデートする彼女の心を掴むことじゃ!)
「はぁ? ちょっと待ってください。それと東日本大震災を防ぐことに何の関係が?」
(東日本大震災が起こった原因、正確には、防げなかった理由の25%はおぬしが彼女に振られたのが原因じゃ!)
「え? 何をおっしゃるんですか、清明さま」
安東要は晴明の発言にしばし呆然となった。
(浅はかよのう。わしの千里眼にははっきりと運命の糸が見えているんじゃ、信用せい!)
「いや、そんなこと言われても、自信がないですよ。デート経験少なくて……」
(そんなことはお見通しじゃ、心配するな。わしが今から『超デート理論』を授けるから安心せい!)
どこかのドラマとか、恋愛本で聞いたような『超デート理論』が出てきた時点で、超不安になってきたんですけど。
「分かりました。仕方ないので、頑張ってみます……」
安東要はこのインチキくさい安倍清明と名乗る声の主に疑いもあったが、ともかく、ここは流れに任せてみることにした。
しかし、デートと東日本大震災が起こった原因に何の関連性があるのか、その時の安東要には知る由もなかった。
(あとがき)
サクサクと話が進みましたが、まあ、何というか、『超デート理論』というのは何なんでしょうね。
次回、「24歳初デート」もしくは『超デート理論』に続きます。
ちなみに、「名護屋」は誤字ではなかったりする。
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