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太陽が地平線に吸い込まれそうな時間、君は私を屋上に誘ってくれたね。
初デート。
屋上から見る景色は、辺りをオレンジ一色で染め上げていたよね。
君は景色を楽しむことなく、本に夢中。
私はそれを眺めていたよ。
ゆっくりと流れる時間。
少し肌寒さの残る風。
オレンジ色に塗りつぶされた君の横顔は見ていて飽きない。
君は行ったよね。
「こんなのが楽しいのか?」
私は、君といる時間が何よりもうれしい。
君は本を読むのをやめたよね。
私の目を見てこう言った。
「あの時意識が薄れるなかで、君のことを思った。
そして僕は君のことが好きだと自覚したんだ。」
私の鼓動が高鳴る。
あの時君は意識を失っていた。
悪夢により危険な状態にあったんだ。
助けに行くには、キスをするしかないと言われて、私は初めてのキスを君としたんだよ。
夢の中に入り、悪夢と戦い、君は勝った。
私の力なんて微々たるものだった。
それでも君は勝ったんだ。
最後まであきらめない。
君のそんなところが、私は好きだよ。
君は言ったよね。
「今君にしたいことがある。」
私の胸はトクンと跳ねた。
なんとなく、期待しちゃったからかな?
「君とキスがしたい。」
本当にまじめだよね。
わざわざ言葉にしなくてもいいのに、それでも私は嬉しかった。
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