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想像していなかった問い掛けに、悠の顔から笑顔が消える。
妊娠が予想外だったと言われることはある程度覚悟していたが、まさか本郷以外の誰かとも関係を持っていることを疑われるなんて、思ってもいなかった。
勿論、発情期の度に何人もの相手と身体を重ねるΩは大勢居る。けれど、悠は初めて発情期を迎えて校内で本郷と身体を重ねた後、施設の小さな個室に篭ってひたすら発情期が過ぎるのを待っていた。本郷との行為は何度も思い出しはしたが、他の誰かと交わりたいなんて、考えもしなかったのに。
……結局本郷にとって、所詮は悠も誰彼構わず身体を重ねる大多数のΩの一人だったというワケだ。
そう思った途端、これまで散々悩んだ自分が馬鹿馬鹿しくなって、悠は喉の奥から自嘲めいた笑いを絞り出した。
「ハハ……そういやそうだよな。Ωの子供なんて、所詮誰の子だかわからねぇよな」
「御影、そうじゃなくて────」
俯いたまま自棄気味に吐き捨てた悠の肩に伸びてきた本郷の手を、悠は咄嗟に強く払い除けた。
「触んじゃねぇよ! ……お前の子なワケなかったわ。呼び出して悪かったな」
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