第四話

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 自分の容姿になんて、本郷は特別興味もなかったし、αに生まれた以上、見た目が良くても不思議じゃない。むしろ、αなら外見が良いのは当たり前と言っても良いくらいなのだから、そこに注目されることが、本郷はどうにも納得出来なかった。  決して見た目だけで本郷のピアノの腕を評価されているわけではないとわかっていても、「見た目が良くてピアノも上手い」という周囲からの賛辞を、本郷は素直に喜べなくなっていた。  それが最も顕著に表れていたのが、高校時代だった。 「それって、何て曲?」  本郷がピアノを弾いていると、それを聴いている女子たちはこぞっていつも同じ質問を投げかけてきた。  高校に進学して程なく、本郷はまだソロではなかったが、コンサートにも時折出演させて貰えるようになっていた。その練習の為、昼休みには可能な限り音楽室のピアノを貸して欲しいと学校側に交渉すると、本郷の存在をブランドロゴのように大袈裟に掲げていた学校側は、あっさり音楽室の使用許可を出してくれた。  これで学校に居ても短い時間だがピアノが弾ける────そう思ったのも束の間。  昼休みになると本郷が音楽室へピアノを弾きにいく、というのはあっという間に生徒の間で噂になり、気付けば昼休みには音楽室に他のクラスからも集まった女生徒たちのギャラリーが出来るようになっていた。     
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