2度目の一目惚れ

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「……や……」 “やめてください” たった一言なのに。 掠れた声しか出なかった。 抵抗しないと思われたのか、手が上下にゆっくりと動く。 「(っ……!!)」 痴漢なんて問答無用で蹴り倒してやる、とか思っていたのに。 実際に遭ってみたら、怖くて身体がすくんで手を振り払う事すら出来なかった。 「(駅……早く……!)」 ぎゅっと目を閉じて恥ずかしさと悔しさに耐えていると、線路のカーブで電車が大きく揺れた。
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