片恋煩い

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「お腹いっぱいになったね」 店の外へ出ると辺りはもう暗くなっていた。 何気なく空を見ると、月の光が雲間から周りを照らしている。 風も出て来たお陰か、暑さも随分と和らいでいた。 「先生の家、近いのか?」 「少し歩くかな」 腕時計で時間を確認する。 終電まで大分時間があった。 そんなに遅くもないし、そのまま送るか。 荷物もあるし。 「あれ、有村さん?」 弾んだ声が聞こえて来て振り返ると、がっしりとした体格の青年が笑顔で俺達を見ていた。
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