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何回か角を曲がった所で手を離す。
「ありがとう。ごめんね」
「あれで諦めればいいけど」
疲れたように肩を落とす有村。
「もうすぐ留学するから、それまでかなとは思ってるんだけど」
「有村が?」
「うん」
それ、来年の春だろ。
まだ半年近くあるぞ。
「気が多い人みたいだし、その内飽きるよ」
「それでも気をつけろよ」
「わかった」
顔を上げてこくりと頷く。
ホントにわかってんのか。
女なんだからな。
目をつけられてんだからな。
「送ってくわ」
あんな事があった以上、夜道を1人で歩かせるのは不安だ。
「えっ!駅と反対方向だよ!?」
「時間あるし平気。ほら、案内しろ」
適当に歩き出す俺を、有村は慌てて追いかけた。
「そ、そっちじゃなくてこっち!」
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