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10分程歩いただろうか。
「あそこなの。本当にありがとね」
とマンションの1つを指さす。
丁度手前の信号で立ち止まりそうだし、ここまで来ればもう大丈夫だろう。
「……あ」
持っていた紙袋を渡そうとした時、有村が小さな声を上げる。
「先生?」
信号待ちをしていた人物が振り向いた。
卒業して以来、先生とは会っていない。
というか学校以外で教師に会うのって初めてだな。
「……不動……?」
「(……ん?)」
訝しむような表情に首を捻る。
有村との関係がバレるのを警戒したのだろうか。
いやでも2人が付き合っている事を俺が知っているのは先生も知ってる筈だよな。
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