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「どんな奴だった?」
「え?」
唐突に聞かれて一瞬何の事か分からなかった。
「あぁ、えーと……面倒臭そうな奴でした。自信家ってのが前面に出てるような感じです」
不快そうに顔をしかめる先生。
「有村は“その内飽きるから”って言ってましたけど」
「……俺の方が気を揉んでる位だ」
先生は盛大に溜め息をつく。
「隙があるように見えるんすかね?」
一応毅然とした態度で断り続けてはいたが。
「押しに弱いって思われてんだろうな。男に苦手意識があるからそう見られる」
「あー……年上だとそうかなとは感じてましたけど」
俺達のような同級生にはそんな事を感じないが、有村は男から声を掛けられると表情を固くして身構える。
そんな風に態度に出すのは珍しいなと思っていた。
「見てて分かるのか?」
「なんとなくでしたけど」
ナンパされている場面に何度か遭遇した事があるのは黙っておこう。
「警戒心があるのは良いことなんだが……一度気を許すと男も女も関係なく付き合うからな、有村は」
「確かにそうー……」
その言葉で最初に感じた違和感の正体が分かる。
有村が外食する事は知っていたけれど、誰といるのかは聞いていなかった。
女友達だと思っていたのだろう。
だから有村の隣に俺がいた事に眉を寄せた。
俺の事も警戒してんのか。
意外だった。
もっと余裕があると思っていたのに。
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